抱き男
瀧澤「先日沖縄に行きまして」
大山「ほう…沖縄に」
瀧澤「青い海……」
大山「白い砂浜……」
瀧澤「ビキニのギャル」
大山「ビキニのギャル。となればもちろん…」
瀧澤「抱きました」
大山「当然じゃな」
瀧澤「元カノが夜中にメールを寄越しまして」
大山「ほう…元カノが」
瀧澤「借りっぱなしの漫画を返したいと。今からうちに行きますと」
大山「…さすれば当然」
瀧澤「抱きました」
大山「当然じゃ。当然の権利&義務じゃ」
瀧澤「ちょっと一服よろしいですか」
大山「よかろう。……いやしかし、噂に違わぬ抱きっぷりじゃな」
瀧澤「(煙草を吹かしながら)ありがとうございます」
大山「わざわざ呼んだだけのことはある」
瀧澤「……先日私の目の前で、書類をぶちまけてしまった女性がおりまして」
大山「ほう…それは災難じゃ」
瀧澤「抱きました」
大山「そうなるじゃろうな」
瀧澤「書類を踏み荒らしつつ抱きました」
大山「やむを得ん。弱肉強食の世の中じゃ」
瀧澤「また先日、私の目の前でひったくりに遭った女性がおりまして」
大山「……抱いたんじゃな?」
瀧澤「いえ、警察を呼びました」
大山「なんと……」
瀧澤「で巡査を抱きました」
大山「巡査!抱いた!良かった抱いた!抱かないのかと思ったわい」
瀧澤「抱き男ですから」
大山「抱き男じゃからな……」
瀧澤「警察と言えば……捜査に協力したこともあります」
大山「なんと…国家権力が抱き男の力を認めたと…!」
瀧澤「オレオレ詐欺の巨大組織のアジトを嗅ぎつけ……一網打尽に抱きました」
大山「君に抱かれたら改心せざるを得なかったじゃろうて」
瀧澤「改心したかはわかりませんが……有無を言わせず三日三晩抱きました」
大山「もう改心を通り越して悟りを開いてしまいそうじゃ。…君に尋ねたいことがある」
瀧澤「なんでしょう」
大山「抱き男になるのは、大変なことなんじゃろうか」
瀧澤「……と仰いますと?」
大山「いや、わしの孫がな。将来君のような抱き男になりたいと、こう言うんじゃ。
だもんで、抱き男になるのはどんなに険しい道のりなのか知りたくてな」
瀧澤「……私の両親は共働き、家にはほとんど居りませんでした。
私が学校から帰ると部屋は真っ暗。テーブルには決まって書置きが一枚」
大山「……」
瀧澤「『今夜も遅くなるので、この一万円で、適当に抱いてください』」
大山「なんと……その時分から……」
瀧澤「一人は寂しいので友達を家に誘います」
大山「ふむ」
瀧澤「抱きました」
大山「なんと……」
瀧澤「力任せに抱きました」
大山「ぎゅーっとな。ぎゅーっ、とな」
瀧澤「そういった過酷な環境が、抱き男を産んだのかもしれません」
大山「うむ……過酷なんじゃな……」
瀧澤「……それでもどうしても抱き男になりたい、と言うのであれば」
大山「む?」
瀧澤「今度お孫さんを連れてきてください」
大山「すると…」
瀧澤「見所があれば……抱きましょう」
大山「おお!ありがとう!孫に伝えておくよ!」
瀧澤「……では続き、よろしいですか?」
大山「うむ!あまり時間もないしな!」
瀧澤「映画を結末まで見れた試しがありません。途中で抱くので」
大山「ダキデミー賞じゃ。ダキデミー賞総舐めじゃ!」
瀧澤「地球温暖化を防ぐ為に何かできないかと思い立ち…抱きました」
大山「抱きなさい抱きなさい。シロクマもペンギンも君に抱かれれば、南極の氷が徐々に溶けてることなんて気にしなくなるはずじゃ」
瀧澤「さあてどんどん抱いていきますよ」
大山「うむ!ノーアウト満塁、ピッチャー振りかぶって第3球…」
瀧澤「抱きました!」
大山「4−6−3で」
瀧澤「抱きました!」
大山「ライス国務長官を」
瀧澤「抱きました!」
大山「日米安保!日米安保!香りマツタケ…」
瀧澤「抱きしめじ!」
大山「せり・なずな・ごぎょう・はこべら…」
瀧澤「抱きました!」
大山「オノ・ヨーコ!」
瀧澤「Phot is Dakimashita!」
大山「プレゼントなら!」
瀧澤「抱き枕!」
大山「抱きました?!」
瀧澤「抱きました!」
大山「抱けますか?!」
瀧澤「抱きましょう!」
大山「抱いてくれ!!ワシを抱いてくれぇぇぇぇぇ!!」
瀧澤「抱けません」
大山「なんとっ…!そう言わずに抱いてくれぇぇぇ!!」
瀧澤「抱けません」
大山「いやお主に幾ら払ってると思ってるんじゃぁぁぁ!!抱いてくれぇぇぇぇぇ!!」
瀧澤「抱けませんて」
大山「……うぬぬ……なるほど!そう簡単には抱かないと!こう、徐々に、徐々に抱きほぐしていこうと!そういうわけじゃな!!」
瀧澤「いや違います」
大山「じゃあなぜじゃぁぁ?!なぜワシだけ抱いてくれんのじゃぁぁ!!」
瀧澤「いや……単純に好みじゃないので…」
大山「……あ…………じゃあ仕方ないね……」
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